中学生の国語の文法で、多くの人がつまづくのが『動詞の活用』ではないでしょうか。
五段活用や上一段活用、下一段活用にカ変、サ変といった活用の種類。さらには未然・連用・終始・連体・仮定・命令などの活用形など、覚えることが多い上に複雑です。
幸い私自身は、中学校当時の国語の先生がわかりやすかったので活用で苦労した記憶はないのですが、中学生に国語を教えた時に動詞の活用を理解していない生徒はかなり多いです。
そして、そんな生徒に共通しているのは、そもそも活用が何か理解していないということです。
活用って何?
では、活用とは何でしょうか。
活用というのは、その単語のあとに続く言葉によって、語尾を変えることです。
この説明ではいまいちピンとこないですよね。
でも、活用自体は普通に皆さんが普段から使っていることなので、全くむずかしくありませんよ!実際にやってみましょう。
『走る』という動詞があります。この単語の後ろにいろんな言葉を続けてみます。
『走る』+『ない』はどうなりますか?
そのままつなげて、『走るない』でしょうか?
違いますよね。『走らない』となります。
自然と走るの『る』を『ら』に変えましたよね?これが活用です。
では、『走る』+『ます』はどうでしょう。
これも『走るます』ではなく『走ります』となります。
人に走ることを命令するときはどうでしょう。
『走る!!』ではありませんね。それではただの宣言です。
人に命令するときには『走れ!!』ですね。これも活用です。
活用する品詞と活用しない品詞
活用についてはなんとなくわかってもらえましたか?
しかし、全ての単語が活用するわけではありません。
活用する品詞
先ほどの例にも挙げた『走る』のように、動作を表す単語のグループ『動詞』は活用する品詞です。
走るだけでなく、『笑う』という動詞も『笑わない』『笑います』のように活用しますし、『遊ぶ』という動詞も『遊ばない』『遊びます』と活用します。
他にもものごとの性質や状態などを表す『形容詞』や『形容動詞』なども活用する品詞です。
例えば形容詞の『美しい』は『美しくない』『美しかった』というように活用します。語尾をそのままにして、『美しいない』とは言いませんよね。
形容動詞でも同じで、『きれいだ』という形容動詞の後ろに『人』をつけるとどうなるでしょう。
『きれいだ人』ではなく、『きれいな人』となりますね。
あと1つ、活用する品詞は『助動詞』です。
助動詞は付属語といって、それだけでは意味がわかりにくいかもしれませんが、たとえば断定の助動詞『です』で考えてみましょう。
「彼はご飯をよく食べる人です。」の『です』は断定の助動詞なのですが、この文章に過去の意味を持つ助動詞の『た』をつけてみましょう。
もしも活用させなかったらこうなります。
「彼はご飯をよく食べる人ですた。」
かなり訛って聞こえますね。
しっかり活用させると、「彼はご飯をよく食べる人でした。」となります。これも活用です。
活用しない品詞
一方で、全ての言葉が活用するわけではなく、活用しない品詞もあります。
活用するのが動詞・形容詞・形容動詞・助動詞なので、それ以外は活用しないのですが、例えば名詞はわかりやすいと思います。
物の名前を表す単語のグループが名詞です。しりとりで使うのは名詞ですね。
例えば『えんぴつ』ですが、『えんぴたない』や『えんぴちます』『えんぴて!!』とはなりませんよね。
『えんぴつ』は後ろにどんな言葉がきても『えんぴつ』です。
ほかにも副詞の『ゆっくり』だって『ゆっくらない』とも『ゆっくれ!!』ともなりませんよね。
連体詞の『あらゆる』も『あらゆります』とはなりません。接続詞や感動詞、助詞も同様です。
このようにすべての単語が活用するわけではないのです。
まとめ
さて、今回は『そもそも活用って何?』という説明をしました。
活用の意味は分かりましたか?
活用とは、その単語の後ろに続く言葉によって語尾を変えること。
最初にこう説明したときにはいまいちピンとこなかったと思いますが、改めてこの説明を聞くと何となく理解できるのではないでしょうか。
そもそも活用なんて普段皆さんが自然としていることなので、全く難しくはないんです。
ただ、活用の意味がわかっていないと、活用形や活用の種類といった話をされても何の話をしているのかがわからないと思います。
とは言え、活用が何なのかわかっただけでは、活用形や活用の種類まで理解できるわけではないので、それはまた改めて詳しく解説したいと思います。
塾長 増田
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