「考えて考えて考え抜く」という姿勢・態度は勉強をする上で、とても大事なことです。
よく学校の先生から、「時間いっぱいまで考えなさい」と言われることでしょう。
ただ、この「考えぬく」という言葉を勘違いし、損をしている学生を多く見受けられます。
今回はその話を、数学の問題で例え、解説していこうと思います。
- 数学の授業にはついていける
- 定期試験でもそれなりの点数は獲得できている
- でも模試だと高い点数が取れない
という方に、必見の内容です。
つまり本記事は、数学が得意なんだけど「イマイチ模試の点数がぱっとしない...」という方に読んでほしいです。(基本は、高校生向けの記事となります)
さて、先に答えを言ってしまいますと、数学は解法(=問題を解く具体的な方法)パターンを知っているか知らないかで、解ける解けないが決まると言っても過言ではなく、考えても無駄になるケースは多いに存在します。
したがって、教科書の問題が解けるようになったら、解法パターンを大量に蓄える学習に切り替える必要があるのです。
その際、「自分の頭でひたすら考える」という態度は、実は効率が悪い、ということを以下で述べていきます。
解き方を知っていないと解くのが難しい問題
例を出します。
a+b+c+d = 7 を満たす、0以上の整数 a,b,c,d の組は何通りあるでしょうか?
という問題を考えましょう。
この問題には、独特な解法が知られています。
その解法を知っている方もおられると思いますが、その解法を知らない方は、おそらく次のように解くのではないでしょうか。
[1] d = 0 のとき
方程式は、a+b+c = 7
である。さらに c の値によって場合を分けると
(i) c = 0 のとき、方程式は a+b = 7 なので、これを満たす(a,b)の組は
(a,b) = (7,0), (6,1), (5,2), (4,3), …, (0,7)
の8通り。
(ii) c = 1のとき、方程式は a+b = 6 なので、これを満たす(a,b)の組は・・・
と、このように全てを解いていくと思います。
実際には、この問題は
10!/(7!3!) = 120(通り)
という、たった1行の計算で解くことが可能です。
それはなぜでしょうか。
「a+b+c+d = 7 を満たす、0以上の整数 a,b,c,d の組」
と
「7個の丸と3個の仕切り 〇〇〇〇〇〇〇||| の並べ方」
が完全に対応するからです。
例えば、(a,b,c,d) = (2,3,0,2) は a+b+c+d = 7 を満たします。
そして、これは丸と仕切りの次の並べ方
〇〇|〇〇〇||〇〇
に対応しています。
3個の仕切りが7個の丸を、2個3個0個2個に分けています。
これが (a,b,c,d) = (2,3,0,2) に対応している、というわけです。
したがって、私達は
「a+b+c+d = 7 を満たす、0以上の整数 a,b,c,d の組の総数」
を数える代わりに、
「7個の丸と3個の仕切り 〇〇〇〇〇〇〇||| の並べ方の総数」
を数えればよいわけです。
この数え方は、「同じものを含む順列」として、教科書にも登場する内容です。
よって、10!/(7!3!) を計算してしまえば答えが出る、という理屈になります。
「ひたすら考えれば」偏差値は上がるのか?
では、私からひとつ質問をさせて頂きます。
あなたがこの解法を知らなかったとしましょう。
その場合、あなたは「試験場で」「時間内に」「確実に」この解法を思いつくことができるでしょうか?
断言します。それは絶対に無理です。
大学受験の数学では、先の方程式の問題のように、知っていればすぐに解けるが知らないと全く歯が立たない(または解くのに非常に時間がかかってしまう)ような問題がたくさん存在します。
ゆえに、「自分の頭でひたすら考える」という態度は、時に、非常に危険な勉強法となってしまうのです。
あなたが模擬試験で伸び悩む原因は、ここにあるのかもしれません。
典型的な問題を大量に解く
したがって、「教科書の問題はだいたい解ける」というレベルの人が、次に行う勉強は、青チャートやFocus Goldのような、「典型的な問題が凝縮された問題集を大量に解く」ことです。
また典型的な問題を解くときも「自分の頭でひたすら考える」ではなく、5分程度考え、よく分からなかったらすぐに解答を見ましょう。そして覚えてください。
次に同じような問題に出会った時に、確実に解けるようにすればいいのです。
まとめると、
問題文を読む
↓
5分経っても解けそうにない
↓
答えを見る
↓
理解したら次回以降、同じ問題は解けるようにする
を、1000題程度(≒青チャートI,A,II,B,IIIの例題数)の問題に対して行うだけです。
これだけであなたの偏差値は劇的に上がるはずです。
まとめ:数学は閃きではない
勉強の基本は「覚える」です。数学であれば、閃きではありません。
テスト中に閃いて解けるようなことはなく、すでに存在する問題の解き方からしかその問題は解けないのです。つまり、それを知っているか知らないかで点数が大きく変わってきます。
受験もうすぐの方、がんばってください!
講師 砂田
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