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証明の答えが解答と合わない? 文字設定の仕方は一つじゃない!

以前『数学の証明は簡単!解き方を解説しよう!(整数編)』でこんな質問をいただきました。

連続する偶数と奇数の問題では、2nか2n +1の書き方しかないでしょうか?」

質問いただきありがとうございます。

 

今回はこちらの質問への回答も含めて、証明の解答について説明していこうと思います。

 

文字式で表す方法は一つじゃない

まずは質問への回答ですが、連続する2つの偶数と奇数の書き方は2nと2n+1以外にもあります。

文字設定の仕方は無数に存在します。

 

”連続する2つの偶数と奇数”という言葉を文字式で表すとしたら、1番オーソドックスな書き方は「2nと2n+1」だと思いますが、偶数と奇数の大小関係が明記されていないので「2nと2n-1」でも大丈夫です。

もっと言えば、「2n+2と2n+3」も連続する偶数と奇数ですし、極端ですが「2n+100と2n+101」でも問題ありません。

 

しかし、使う数字が大きくなればなるほど計算ミスも増えますし、何より数学はできるだけシンプルな回答を求められるので、連続する2つの偶数と奇数であれば「2nと2n+1」か「2nと2n-1」のどちらかを使うのが良いと思います。

 

証明の答えが解答と合わない?

先ほど、文字設定の仕方は無数に存在すると言いましたが、基本的に問題集の答えには一通りの解答しか載っていません。

なので、塾の生徒からも良く聞かれるのが、「答えと違うけど、これでもあっていますか?」という質問です。

 

そういう時には生徒の答えを直接見に行くのですが、こういう質問をしてくる生徒の証明は9割がた正解しています。

証明の答えが問題集の解答と違っていても、その答えが間違っていると決まったわけではないので、先生に確認してみるのが良いと思います。

 

同じ問題を何通りかの文字設定で証明してみよう

では、最初の質問にもあった、連続する2つの偶数と奇数に関する問題を、何通りかの文字設定で証明してみます。

詳しい証明方法については『数学の証明は簡単!解き方を解説しよう!(整数編)』を参考にしてください。

 

連続する2つの偶数と奇数の和は奇数になることを証明しなさい。

この問題を3通りの文字設定の仕方で証明していきます。

 

«解法①»

nを整数とすると、連続する2つの偶数と奇数はそれぞれ2n、2n+1と表される。
この2数の和は、2n+(2n+1)= 2n+2n+1
               = 4n+1
               = 2×2n+1
2nは整数なので、2×2n+1は奇数である。
よって連続する2つの偶数と奇数の和は奇数になる。

≪解法②≫

nを整数とすると、連続する2つの偶数と奇数はそれぞれ2n+2、2n+3と表される。
この2数の和は、(2n+2)+(2n+3)= 2n+2+2n+3
                   = 4n+5
                   = 2(2n+2)+1
2n+2は整数なので、2(2n+2)+1は奇数である。
よって連続する2つの偶数と奇数の和は奇数になる。

≪解法③≫

nを整数とすると、連続する2つの偶数と奇数はそれぞれ2n+100、2n+101と表される。
この2数の和は、(2n+100)+(2n+101)= 2n+100+2n+101
                     = 4n+201
                     = 2(2n+100)+1
2n+100は整数なので、2(2n+100)+1は奇数である。
よって連続する2つの偶数と奇数の和は奇数になる。

このように、どのやり方でも、数学的に正しければ特に問題はありません。

ただ、見て分かるように、数字が大きければ計算ミスが出やすく、また答案としてもあまり美しくありません。なので、解法②や③はおすすめはしません。

 

こういう問題は文字設定が複数パターン出やすい

連続する2つの偶数と奇数では、そんなに何パターンもの文字設定がでることはありません。

先ほどの解法②や③は相当ひねくれたやり方です。

 

しかし、連続する3つの○○という問題は、文字設定が複数パターン出るケースが多いです。

 

連続する3つの整数

連続する3つの整数は、3,4,5や7,8,9のような組み合わせのことです。

整数をnと置いて文字式で表していくのですが、nを3つのうちどこに置くかで表し方が変わってきます。

  1. nを一番小さい数とする場合「n、n+1、n+2」
  2. nを真ん中の数とする場合「n-1、n、n+1」
  3. nを一番大きい数とする場合「n-2、n-1、n」

この3つであれば、どれを使ってもシンプルで良いと思います。問題集の答えには①のパターンが載っていることが多い気がしますが、案外②の方が上手く数字が消えてきれいに行くことが多いです。

 

連続する3つの偶数

連続する3つの偶数とは、2,4,6や8,10,12のような組み合わせのことです。

整数をnとすると、偶数は2nと表されるので、この2nを3つのうちどこに置くかで表し方が変わってきます。

  1. 2nを一番小さい数とする場合「2n、2n+2、2n+4」
  2. 2nを真ん中の数とする場合「2n-2、2n、2n+2」
  3. 2nを一番大きい数とする場合「2n-4、2n-2、2n」

連続する3つの整数と同じ考え方ですね。

 

連続する3つの奇数

連続する3つの奇数とは、3,5,7や11,13,15のような組み合わせのことです。

整数をnとすると、奇数は2n-1か2n+1と表されます。奇数の場合は、偶数と違って、基本的な表し方が2種類あるので、少しパターンが多くなります。

  1. 2n-1、2n+1、2n+3
  2. 2n+1、2n+3、2n+5
  3. 2n-3、2n-1、2n+1
  4. 2n-5、2n-3、2n-1

実際には①か②がほとんどだとは思います。

 

これをやってしまうと間違い!

ここまで、証明の文字設定は何通りでもあると言ってきましたが、なんでも良いというわけではありません。

あくまで数学的に正しければなんでも良いというだけです。

文字設定の仕方でこれをやってしまうと間違いだというパターンをいくつか紹介します。

 

連続していないのに同じ文字をつかってしまう

連続する2つの偶数は「2,4」や「8,10」のような組み合わせのことを言い、「2nと2n+2」などで表しますが、問題によっては「連続する」という言葉がない場合があります。

「2つの偶数の和は偶数になることを証明せよ。」など、連続しない場合は、同じ文字を使ってはいけません!!

 

単に2つの偶数だけの場合は「2,100」や「6,16」のようにどんな偶数同士の組み合わせでも成り立たなくてはなりません。

このような問題で「2nと2n+2」のような表し方をしてしまうと間違いになってしまいます。

 

nはどちらにも共通して同じ整数が入るので、「2nと2n+2」はn=1のときは「2と4」、n=5のときには「10と12」というように、固定されてしまいます。

こういった場合は、「n、mを整数とすると、2つの偶数は2n、2mと表される」というように2つの文字を使って表さなければなりません。

 

連続しているのに違う文字を使ってしまう

先ほどと逆のパターンです。

連続する2つの○○と言われている問題で、nとmなど2つの文字を使ってしまうと、連続しないバラバラなものになってしまうので、良くありません。

実際には「2つの偶数の和が偶数」を示すことができれば、「連続する2つの偶数の和が偶数」も示せているのですが、「連続する2つの偶数を2n、2m+2」のように書いてしまうと、そこは間違っているのでやはり減点は免れません。

 

問題の指示通りになっていない

当たり前ですが、問題の指示通りのことが言えていなければ間違いです。

連続する3つの整数の問題を考えてみましょう。

 

連続する3つの整数とは、「5,6,7」や「12,13,14」などの組み合わせを言いますが、ここで「n、n+2、n+4」のように2つ飛ばしにしてしまったり、「n、2n、3n」のように書いてしまうと、連続する3つの整数にはなっていません。

n=5だとすると、「n、n+2、n+4」は「5,7,9」となりますし、「n、2n、3n」は「5、10、15」になってしまいます。連続していませんよね。

 

実際に数値を代入してみると、本当に問題の指示通りになっているかどうか確認することができますよ!

 

まとめ

整数の証明問題は、文字設定の仕方によって回答の仕方も異なります。

しかし、問題集などの答えはページ数などの関係上、基本的に1パターンしか載っていません。

 

連続する3つの○○などの場合は、文字設定のパターンも多いため、問題集の答えとは違っても、正解しているケースも多々あります。

「連続しているかどうか」など、気を付けなければならない部分に注意しながら、実際に数値を代入してみるなどして、問題の指示通りの文字設定ができているか確認してみてください!

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塾長 増田

学習塾 Step by Stepの塾長。担当は数学と理科、国語。
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