ある塾(Step by Step)には、守らなければならないルールが二つだけあります。
一つは私語を一切しないこと。もう一つは姿勢を正すことです。
私語禁止というルールは比較的わかりやすいルールだと思いますが、これと同じくらい大切にしているのが、姿勢を正すということです。
姿勢を正す目的と言うのは何も見栄えだけの問題ではありません。背筋を伸ばせば成績も伸びると断言できるほど、正しい姿勢というのは学習面で重要なのです。
姿勢を正すことの重要性を、経験則的観点と科学的観点から見ていきましょう。
立腰 ~経験則的観点~
日本の教育界には、古くから「立腰」という言葉があります。
哲学者であり、教育者である森信三が唱えたもので、今でも「立腰」という言葉は全国の学校で見られます。
自分の通っていた学校の廊下やトイレにこの言葉が貼ってあった、という方もおられるのではないでしょうか。
この立腰というのは
一 まず尻をウンと後に引く
二 つぎに腰骨(お尻のやや上方)の中心をウンと前へ突き出す
三 軽くアゴをひき、下腹に力を入れ、持続させる
というもので、これによって、学力向上、精神明晰、心身の健康につながります。
提唱者である森信三は「この一事をわが子にしつけ得たら、親としてわが子への最大の贈り物といってよい」とまで言っています。
これは経験則からくるものでありますが、今でも全国の学校でこの精神が取り入れられているのは、確かな効果があるからです。
立腰教育を取り入れることでクラスが劇的に変わったという話も聞きます。
実際、数学が苦手な子は姿勢の悪い子が多いです。
数学が得意な子は難しい問題にてこずっても、前傾姿勢で机に向かって、必死に考えています。この時の集中力はものすごいものです。
逆に背もたれに背中が付いていたり、頬杖をついたり、ましてや足を組んだりしている子はあまり集中できていません。
この違いは誰が見ても明らかでしょう。
先人たちの経験則からすると、姿勢を正すということは学力の向上につながるものなのです。
フロリダ州立大学の研究結果 ~科学的観点~
さて、経験則として日本では1900年代の中ごろにはすでに唱えられていた姿勢と学習効果の関係性ですが、2005年にはアメリカのフロリダ州立大学の研究によって科学的にも裏付けされるようになりました。
簡単に説明すると、良い姿勢を維持し続けて勉強したことは驚くほど忘れにくく、また同じような姿勢をとった際に記憶力を呼び起こす効果もあるというものです。
つまり、良い姿勢で勉強すれば学習効果が高いことはもちろん、同じようにピシッとした姿勢で受けることになる定期テストや入試などで、勉強したことを思い出す効果もあるということです。
先ほどの立腰教育についても、近年では研究が進み、酸素供給や内臓の圧迫などの関係から、科学的にも良い姿勢であり、学習効果の向上に期待できるとされています。
姿勢と学力の関係について。
勉強の苦手な子のもう一つの特徴は、ペンを持っていない方の手です。左手(左利きであれば右手)がいつも机の下でぶらぶらしている生徒で勉強のできる生徒はほとんど見たことがありません。
手と脳がつながっているというのは有名な話です。
右手は言語や計算などを担当する左脳とつながっていて、左手は、ひらめきや空間認知などを担当する右脳とつながっていると言われています。
これはあくまで予想ではありますが、両手を使うということは脳をフル活用するということで、片手を遊ばせているということは、脳をあまり使えていないということなのではないでしょうか。
科学的に見てもやはり、姿勢を正すということは学力の向上につながるようです。
まとめ
以上から、同じ時間勉強するなら正しい姿勢で勉強をした方が圧倒的に効率が良いことがわかりました。
では、どのような姿勢を取るべきで、どのような姿勢がダメなのかをまとめます。
良い姿勢
- 立腰の姿勢(上記参照)
- 机からこぶし二つ分離れ、やや前傾姿勢
- ペンを持ってない方の手はプリントやノートを押さえる
悪い姿勢
- 猫背、頬杖をつく、足を組む
- 背もたれに背中を当てる
- ペンを持ってない方の手をブラブラと遊ばせる
姿勢を正すことは勉強の得意不得意にかかわらず誰にでもできる学力向上法です。
あなたも今日から背筋をピンと伸ばして、成績も伸ばしましょう。
塾長 増田
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