証明と聞くとそれだけで頭を抱えてしまう生徒がほとんどなのですが、証明はそんなに難しくありません。
書き方のテンプレートだけ覚えてしまえば、考えないといけないことはほんの少しだけです。
自分で考えるのは3つだけ!!
実は証明のほとんどは自分で考える必要がありません。
手順を大きく分けると➀文字設定 ②立式 ③計算 ④変形 ⑤まとめ となりますが、自分で考えないといけないのは3つだけです。
3つとは、「文字設定」「立式」「変形」です。
その3つもそんなに難しいわけではないので、例題と一緒に考えてみましょう。
例題:連続する二つの奇数の和は4の倍数になることを証明しなさい。 |
文字設定
整数の証明では、式を立てて、計算することで問題文の内容が正しいことを示します。
その際「連続する二つの奇数」という言葉のままでは計算も何もできないので、まずは言葉を文字式で表します。
そのことを文字設定と呼びます。
文字設定は自分で考えないといけないと言いましたが、これは考えるというより知識があるかどうかです。
まずはその知識をつけてもらいます。
・☐の倍数・・・☐×整数
例えば3の倍数なら3×整数。5の倍数なら5×整数です。これは覚えてください。
・偶数・・・2×整数
偶数は、2,4,6,8,10……つまり2の倍数です。上で言った通り、☐の倍数は☐×整数なので、2の倍数である偶数は2×整数です。
・奇数・・・2×整数+1 または 2×整数-1
奇数も何かの倍数であれば表しやすいのですが、残念ながら何の倍数でもありません。
しかし、整数を順番に書いていくと、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11……というように奇数と偶数が交互にならんでいることがわかると思います。
ですから、奇数は「偶数から1ずれた数」と考えます。
偶数は2×整数で表されるので、奇数は2×整数+1、もしくは2×整数-1で表されるというわけです。
ここまでは知識として覚えてください。
これは今の「文字設定」だけでなく、後から出てくる「変形」でも重要になります。
次に、文字設定用の知識です。
最初にも言ったように、言葉のままでは計算もできないので、言葉を文字式で表すのが文字設定です。ということは2×整数の、「整数」という言葉もこのままではダメだということです。
そこで、一般的にnやmという文字を整数ということにして証明していきます。
ですから、多くの証明は次の言葉から始まります。覚えておいてください。
nを整数とすると…… |
さて、これまでは言葉だった「整数」を文字で置くことは理解していただけたでしょうか?
次は例題にも出てきた「連続する二つの……」という表現です。
- 連続する二つの整数・・・n , n+1
連続する二つの整数とは、具体的な例を挙げると「3と4」や「15と16」のように、まさに文字通り連続する二つの整数です。3の次は4、15の次は16、つまり前の数字に1足せば次の数字になるわけです。ということはnの次はn+1です。
- 連続する三つの整数・・・n , n+1 , n+2
これはさらに+1しただけなので簡単ですね。
- 連続する二つの偶数・・・2n , 2n+2
これも具体例を挙げると、「6と8」や「20と22」などです。整数は奇数と偶数が交互にならんでいるの、ある偶数と連続する偶数は1つ飛ばすため、前の数字に2を足さなくてはなりません。
偶数は2×整数なので、整数をnに置き換えて2n。2nの次は2n+2というわけです。
- 連続する三つの偶数・・・2n , 2n+2 , 2n+4
これはさらに+2をするだけです。(2n+2)+2=2n+4ですね。
- 連続する二つの奇数・・・2n+1 , 2n+3
偶数と同じように、奇数も1つ飛ばしなので、前の数字に2を足したものが連続する次の数です。
奇数は2×整数+1なので、nを用いて表すと2n+1です。これに2を足すので、(2n+1)+2=2n+3というわけです。
- 連続する三つの奇数・・・2n+1 , 2n+3 , 2n+5
さらに+2をします。(2n+3)+2=2n+5になりますよね。
ここまでをまとめてみましょう。
☐の倍数 |
☐n |
偶数 |
2n |
奇数 |
2n+1 |
連続する三つの整数 |
n , n+1 , n+2 |
連続する三つの偶数 |
2n , 2n+2 , 2n+4 |
連続する三つの奇数 |
2n+1 , 2n+3 , 2n+5 |
これで文字設定ができますね。
先ほどの例題の文字設定をしてみましょう。
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 |
これが文字設定です。
連続する二つの奇数をどのように表すかを知ってさえいればできますね。
立式
文字設定で表した数を使って、問題文の言葉通りに式を作る作業です。その時にも必要な知識が少しだけあります。
こちらは覚えるだけなので、最初から表にまとめておきます。
和 | 足し算の答えのこと |
差 | 引き算の答えのこと |
積 | かけ算の答えのこと |
商 | わり算の答えのこと |
平方 | 二乗した数字のこと |
では例題の立式をしてみましょう。
連続する二つの奇数の和が4の倍数になることを証明しなければなりません。
そして立式するために「連続する二つの奇数」という言葉は「2n+1 , 2n+3」という文字式で表してあります。
この二つの数の「和」ですから、足し算です。
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 この2数の和は、(2n+1)+(2n+3) |
これで立式は終了。問題文通りに式を作ってやるだけです。
計算
次はただの計算です。特に証明だからと気を張る必要はありません。
先ほど立式したものを計算してみましょう。
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 この2数の和は、(2n+1)+(2n+3)=2n+1+2n+3 =4n+4 |
計算は以上です。( )を外して、同類項をまとめるだけですね。
変形
ここが最後の自分で考えないといけない手順です。
変形のポイントはゴールを意識するということです。
この例題では、最終的なゴールは4の倍数であることなので、立式して計算した結果が4の倍数であればOkです。
ここで思い出してもらいたいのは4の倍数はどう表すか、ということです。
文字設定のところで、これは変形でも使うよ。と予告していたと思います。☐の倍数は☐×整数なので、4の倍数は4×整数でなければいけません。
では例題で、立式→計算した結果が4の倍数、すなわち4×整数になっているか見てみましょう。
4n+4 |
4×整数+4という形ですね。
このままでも十分4の倍数のような気はしますが、ここは精確でなければなりません。4の倍数は「4×整数」であって「4×整数+4」ではありません。
なので、4n+4をなんとか4×整数の形に変形しなければなりません。
ここで使用するのは分配法則の逆です。
ではやってみましょう。
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 この2数の和は、(2n+1)+(2n+3)=2n+1+2n+3 =4n+4 =4(n+1) |
nは整数、1も当然整数です。整数の性質として、整数+整数=整数ですから、n+1は整数です。
ということは4(n+1)は4×整数の形です。これで晴れて4の倍数であるということが言えたわけです。そのことを最後にわかりやすいように書き添えてあげましょう。
最後に・・
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 この2数の和は、(2n+1)+(2n+3)=2n+1+2n+3 =4n+4 =4(n+1) n+1は整数なので、4(n+1)は4の倍数である。 よって、連続する二つの奇数の和は4の倍数になる。 |
これで証明は完了です。
問題文と証明を見比べてみると……
最後に問題文と証明を見比べてみましょう。
ほとんどは考えなくても良いということがわかるはずです。
例題:連続する二つの奇数の和は4の倍数になることを証明しなさい。 |
nを整数とすると、連続する二つの奇数は2n+1 , 2n+3と表される。 この2数の和は、(2n+1)+(2n+3)=2n+1+2n+3 =4n+4 =4(n+1) n+1は整数なので、4(n+1)は4の倍数である。 よって、連続する二つの奇数の和は4の倍数になる。 |
この黄色い部分は、ほとんどの問題に共通する部分なので、これを使って証明問題のテンプレートを作ってみましょう。
問題: A が B であることを証明しなさい。 |
nを整数とすると、 A は文字設定と表される。 A は 立式 = 計算 = 計算 = C×D(変形) D は整数なので、 C×D は B である。 よって A は B である。 |
「文字設定」「立式」「変形」さえできれば証明はできるということがわかります。
証明=どうにもならないではありません。
証明は準備さえすれば確実に点が取れる分野なのです。逃げずに向き合ってみてください。
塾長 増田
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