いきなりですが、まずはこの問題を読んでみてください。
2つの抵抗を並立につないだ回路に流れる電流とその2つの抵抗を1つの抵抗として考えた全体の電気抵抗について調べるための実験を行った。まず、右のⅠ図のように電気抵抗の大きさが40Ωの抵抗Xと10Ωの抵抗Yを用いて回路を作った。次に電圧装置の電圧の大きさを一定にしたまま回路に電圧を加え、そのときの抵抗X、抵抗Y回路上の点Zを流れる電流の大きさをそれぞれ調べた。右のⅡ図はこの実験において、抵抗Xを流れる電流の大きさを調べているときの電流計と、その端子につないだ導線の一部を示したものである。Ⅰ図とⅡ図から考えて、抵抗Xを流れる電流の向きとその大きさの組み合わせとして最も大きいものを次のア〜カから1つ選べ。ア電流の向き:矢印Pの向き。電流の大きさ:1.5A イ電流の向き:矢印Pの向き。電流の大きさ:150mA ウ電流の向き:矢印Pの向き。電流の大きさ:15.0mA エ電流の向き:矢印Qの向き。電流の大きさ:1.50A。 オ電流の向き:矢印Pの向き。電流の大きさ:150mA。 カ電流の向き:矢印Pの向き。電流の大きさ:1.50A。
……読み飛ばしませんでしたか?
この問題は2015年の京都公立入試の理科の問題です。難易度的には易しい方なので、公立高校志望であれば解けて当然の問題です。
この問題は入試問題の中で問題文が特別長いわけでも短いわけでもありません。普通の問題です。
それでもそこそこ長いですよね。
文章が読めないということは、国語だけでなくどの教科でも点が取れないということです。
次は少し長めの入試問題を紹介します。
トレーニングだと思って読み飛ばさず最後まで読んでみてください。
次の文章を読んで、あとの問1〜問4に答えなさい。
ヒトの眼は直径が約24mmの球形をしており、カメラに似た構造をしています。カメラのレンズに相当するものが水晶体であり、フィルムに相当する網膜上に像が結ばれることでヒトは外界の様子を「見る」ことができます。ヒトは目の水晶体の厚さを変えることにより、レンズの焦点距離を調節していろいろな距離にある物質を網膜上に結ぶことができます。しかし、水晶体が( a )になると、本来は網膜上に結ばれるべき像が網膜上より( b )にできてしまい、遠くのものが見えづらくなります。これが「近視」といわれる状態です。像のできる位置と網膜とのずれが大きくなるほど物が見えづらくなり、視力は下がってしまいます。では、視力とはどのような原理で測定しているのでしょうか。現在、日本における視力検査では多くの場合、「ランドルト環」が用いられています。ランドルト環は輪の一部が途切れた(この部分を以下「閉口部」という)形をしています。視力検査表には様々な大きさのランドルト環が描かれており、視力を測定される人がランドルト環の閉口部がどちらを向いているかを答えていきます。視力検査表には、5m用(5m離れたところに立って視力検査を行う)や3m用があります。5m用の視力検査表の場合、視力は、認識できた最小のランドルト環の閉口部の幅を用いて、次の式で表すことができます。(視力)=1.5÷(5m離れたところから認識できた最小の閉口部の幅(mm)) 例えば、5m用の視力検査表で閉口部の幅が1.5mmのランドルト環の向きが認識できれば視力は1.0、閉口部の幅が認識できれば視力は0.3です。まお、5m用、3m用の視力検査表の同じ視力のランドルト環は、目から見た角度(図1のxの角度)が同じになるようになっています。ところで、視力検査表にはランドルト環のほかに赤と緑の背景の中に黒の二重丸が描かれているものがあります。視力検査の時に「二重丸は赤と緑で、どちらがはっきり見えますか?」と聞かれたことがある人も多いのではないでしょうか。この検査を「2色テスト」といいます。2色テストが何を検査しているのか考えてみます。図2のように太陽の光(赤、橙、黄、緑、青、紫などいろいろな色の光が混じっている)はプリズム(三角柱のガラス)を通すと、屈折するときに様々な色に分かれます。レンズは光を屈折させることで光を焦点に集めているので、太陽の光はレンズを通すときにも様々な色に分かれます。このとき、赤色光は紫色光に比べて焦点距離が( c )なります。この焦点距離の違いにより、人の眼の中でも、赤色の像は緑色の像よりも( d )にできています。2色テストは、このように色によって眼の中に結ばれる像の位置が異なることを利用して、メガネやコンタクトレンズの度数を調整するために行われます。近視を矯正することを考えたとき、レンズの度がちょうどよいと赤色と緑色の二重丸は同じくらいはっきりと見えるようになりますが、レンズの度数が弱すぎると( e )の二重丸の方がはっきりと見えます。このようにして、最も合った度数のレンズを調べるのが2色テストです。
……読み飛ばさずに最後まで読めましたか?
このあとさらに問1、問2……と問題が続いていきますが、長いですよね。
しかしこれはあくまでもただの問題文です。英語や国語の長文ではありません。
この文を読んだうえで理科の知識が問われます。
これは京都の私立高校で出題された理科の入試問題です。国語ではありません。理科の問題です。
公立高校の入試問題は、必ず教科書の範囲内から出題しなければなりませんが、私立高校では特にその縛りはありません。
そこでちょくちょく出題されるのが、学校では習っていないことを問題文で説明し、その場で理解させて問題を出す。というものです。上の問題もその一部です。
これはいかに勉強してきたかというよりも、地頭の良さを測るためのものでしょう。
じゃあ勉強しようがないかというとそんなことはありません。字頭の良さと言いましたが、これは正しくは理解力のことです。一般的に地頭の良さと呼ばれているのは、「理解力」と「発想力」です。
そして、このどちらも勉強で鍛えることができる能力です。
国語は苦手だから他の教科で頑張る。という生徒もいますが、学校の定期テストならまだしも、入試レベルになると国語ができない人はほかのどの教科もできません。
しかし、読解力は鍛えることができるのですから、国語は苦手だからと逃げるのではなく、頑張って勉強してみましょう。
国語だけでなく他の教科もグッとできるようになります。
塾長 増田
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